総合型選抜をわかりやすく解説!受かるために必要なこととは?

更新日:2024/08/22

今回は「総合型選抜」の選抜方法について詳しく解説します。総合型選抜の特徴を理解することで、他の選抜との違いや自分との相性がわかります。様々な方法がある大学入試ですから、自分の力が一番発揮できるものを選べるといいですね。

目次

総合型選抜とは?

AO入試と呼ばれていた入試方法が、新たに「総合型選抜」と名称を変えました。
総合型選抜は、学習意欲や大学への適性・能力など、受験生の未来の可能性を評価する選抜である一方、基礎学力も重視される入試方式です。大学は入学者の受け入れ方針(アドミッションポリシー)を明確にし、それに基づいた選考を行っています。

アドミッションポリシーとは

各大学・学部・学科が設定している、「どんな学生に来てほしいか」という方針のことです。これを読むことで、大学がどんな学生を求めているのか、を知ることができます。

例えば、グローバルに活躍する人材を育成することを掲げている大学に、日本の地域活性化を目指している学生が入学したらどうでしょうか?身につけたい知識や考え方にずれが生じることになりそうです。
このように、自分が目指している方向性と、アドミッションポリシーが合致している大学に進学することで、進学後も違和感なく学問にはげむことができるとも言えます。

総合型選抜の選抜方法

総合型選抜では、学生の意欲・素質・大学との適合性などと、学力の3要素(「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度」)を総合的に判断し合否が決まります。そのため、選考方法も多面的に能力を測れるようなものが採用されています。

調査書

調査書の提出も必要です。「調査書」とは、受験者本人の高校生活での学業成績や学習態度などについて教員が記述する文書のことで、内申書とも呼ばれています。大学側は、入学後の学びを積極的に行えるポテンシャルのある学生を求めています。それを見分けるための資料が「調査書」です。大学の入学者選抜の参考資料として使われ、これまでのAO入試・推薦入試でも提出が義務付けられていました。

2020年度からこの「調査書」の記載内容が見直され、これまでのような評定平均値だけではなく、特長や特技、部活動やボランティア活動、留学・海外経験、取得資格・検定、表彰の記録などの様々な取り組みを、より詳細に記入する形になりました。高校生活において、課外活動も重要な大学入試対策になるということです。大学で学びたいことを探りながら、興味のある事柄には積極的に取り組んでいきましょう。活動の積み重ねが自己アピールにもつながりますし、何よりもかけがえのない経験として、その後の人生を有意義にしてくれるでしょう。

また、学業成績についても良し悪しのみならず、志望学部の基礎科目を履修しているか、好成績をキープしていたか、成績を徐々に上げた努力が見られるかなど、履修状況や成績の推移まで選抜基準に組み入れる大学が増えています。そうなると、学部・学科の選択や進路を早い時期から定め、文理選択や科目選択に注意を払うことも重要になります。
では学業成績の重要度が下がったのか、というとそうではありません。大学によっては、出願に際し基準となる評定平均を設定しているところもありますし、評定平均が高ければ選考で有利になる場合もあります。一般選抜ではないからこそ、高1のころからしっかりと良い成績を収めるのが大切です。

各大学が行う評価方法

小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目にかかるテスト、資格・検定試験の成績など、様々な方法で、多面的に受験生を評価します。
特に総合型選抜において、大学の入学者受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)を理解しているかどうかは大切なポイントです。アドミッション・ポリシーは大学・学部・学科により異なるので一概にはいえませんが、志望大学・学部(学科)に関する強い興味と学習意欲があるか、志望大学(学部)の教育方針を理解して入学を希望しているか、ゼミをはじめ入学後の授業においてリーダーシップを発揮できるかなど、意欲が選考のポイントになります。
また大学入試改革のもと、学力の3要素をしっかりと見る試験と変化してきています。一般選抜のような試験はなかったとしても、各入試内容の中で知識が問われるものも増えてきていますので、「学力が問われない入試」ではありません。 小論文、面接を課す大学が多いですが、大学によって異なりますので、入試要項をしっかりと確認しましょう。

特徴的な選抜

講義を理解する力、自分の意見を発表する力、対話力など、大学で学ぶためにはさまざまな能力を備えていなければなりません。そうした力を測るため、ユニークな試験を課す学校もあります。

①講義型…模擬講義を受講し、その内容をまとめた提出物(レポートや小論文など)をもとに選考する試験です。

②プレゼンテーション型…与えられたテーマに基づき、指定時間内に発表を行う方式です。発表後は質疑応答もあり、その内容も含め総合的に評価されます。

③対話型…大学教員との面談を課す選考方法です。志望動機や入学への意欲、入学後の抱負、学習計画、希望する進路などが問われます。また、基礎学力を試すために、志望学部に関連した口述試験のような質問をする大学、受験生の能力を吟味するために面接を複数回行う大学もあります。志望大学の過去面接例を確認し、あらかじめしっかりと準備しておきましょう。

大学入学共通テストの活用

基礎学力を確認する目的で、「大学入学共通テスト」の結果を提出させる大学があります。一般選抜を利用しない場合も「大学入学共通テスト」の対策は重要です。
尚、前述の「各大学が行う評価方法」か「大学入学共通テスト」の、少なくともいずれか一方が必須になっています。

そのほかの提出書類

総合型選抜では提出しなければいけない提出物が多いことも特徴です。大学によって異なりますが、受験生本人が書いた「活動報告書」「志望理由書」「学修計画書」などを活用する場合が多いです。また、出願条件にオープンキャンパスや説明会への参加を必須としていたり、出願前にエントリーや面談が必要となっていたりなど、大学によって条件が異なります。早いうちから入試方法や必要な書類を確認し、準備を怠らないようにしましょう。

総合型選抜と他選抜方法との違い

総合型選抜の特徴を見てきました。ほかの選抜方法とはどのように違うのでしょうか。

総合型選抜と一般選抜の違い

一般選抜は学力試験の点数で合格が決まる一発勝負です。調査書は提出しますが、その評定などは基本的には合否に関係ないと言われています。共通テストや、各大学で課される試験での点数で合否が決まるという点ではとてもシンプルです。
また、共通テストの出願は9月~10月ですが、大学への出願自体は1月~2月であることが多く、1月の共通テストから始まり、2月下旬には多くの大学での入試が終わります。そのため総合型選抜と比べると短期決戦であるということがわかります。

総合型選抜と学校推薦型選抜の違い

学校推薦型はその名の通り推薦が必要になるというところが大きな違いです。学校推薦型選抜は「指定校制」と「公募制」の2種類がありますが、どちらも学校長の推薦書類が必要であることは変わりません。評定平均や資格、学校外活動の成果などの基準があり、それらを満たさなければ推薦を得られないため、出願のハードルが高くなっています
選考方法は総合型選抜と同じく小論文や面接が課されることが多いですが、大学によって異なりますので、入試要項の確認が必須です。

総合型選抜の出願条件

総合型選抜の場合は学校推薦型と異なり、推薦は不要ですが、大学によっては出願の条件を設定している場合があります。
たとえば、現役生のみ対象、などの制限 が設けられている大学や、評定平均が○以上、という条件が設定されている大学もあります。また、資格の取得や大会への出場・入賞経験が求められることもあります。同じ大学でも、学部学科・入試方式によってこの内容は異なりますので、どの入試であれば一番有利になりそうかなども考え、入試戦略を考えていきましょう。

総合型選抜は併願できる?

総合型選抜・学校推薦型選抜は「専願制」であることが多いです。もちろん、不合格の場合は別の大学・学部を受験することができますが、合格した場合はその大学に必ず入学することが条件になっています。併願できる大学は数が少ないですが、志望校が併願可能な場合は受験機会が増えますので確認しておきましょう。
また、一部の大学では、学校推薦・総合型選抜の出願時期を複数回もうけ、2回以上の出願を認めています。同じ大学の試験を何度も受けられることはメリットですね。

総合型選抜のスケジュール

出願は9月1日以降と決められていますが、出願の前にエントリーが必要な大学もあります
エントリーとは、大学に対して「総合型選抜を受けたいです」という意思表示をすることです。これをしておかないと、9月の出願が認められないことがありますので、スケジュールとエントリーの有無については調べておきましょう。

エントリーは6月ごろから始まりますので、それまでには志望大学・学部学科を決めておく必要がありますね。エントリーシートを提出したり、事前面談をしたりなど、エントリーの中身については大学により様々です。
入試自体は9月の出願を経てからになりますので、9月中旬から11月にかけて実施する大学が多いですが、年明けに入試を行う大学もあります。合格発表は11月1日以降とされていますので、どれだけ早くても11月です。入試本番から合格発表まで時間がある場合はその間不安な気持ちかもしれませんが、一般選抜に向けて受験勉強を続ける必要があるということは覚えておきましょう。

このように見ていくと、総合型選抜は6月から11月ごろまでおよそ5か月間の長い受験になるということがわかります。一般選抜よりは早く合格がわかりますが、長期戦になりますのでスケジュール管理や受験勉強の進め方を入念に考えておくことが大切です。

総合型選抜の対策ポイント

資格試験対策

資格試験で一定の級や点数を取ると、大学受験では優遇される場合があります。総合型選抜では調査書の提出が必須ですので、そこに優遇されるような資格試験結果を記載できれば、合格に一歩近づくと言えるでしょう。
大学入試での資格試験優遇といえば、英語外部検定試験があげられます。大学の募集要項には「英検®〇級以上」「TOEIC®○点以上」などの基準を記載しています。一般選抜の際にも活用できますので、高校1年生の時から意識しておくとよいでしょう。

出願書類の対策

出願書類は書類選考で使われます。書類の内容によって合否が左右されるとも言えます。

志望理由書

志望理由書とは、志望大学・学部で学びたい理由を、論理的に説明したものです。この書類をもとに面談・面接での意思確認が行われます。下記に示す3つのポイントを押さえ、説得力のある文章にしましょう。

入学後に学びたいこと

まずは大学で学びたいこと、取り組みたいこと、研究したいことを示します。将来就きたい職業に応じが学部選択をしている場合は、具体的な職業名を加えてもよいですね。その際、研究や学びの目的をはっきり書くことがポイントです。自分が進めたい研究や学びが他者や社会にどう役立つのかをしっかりと表現し、アピールしましょう。

学問を志す動機

上で書いた学問について、なぜ学びたいのか、自らの体験を起点に、その理由を書きましょう。どんな体験をして、どういった問題を発見したのか。そして、大学での学びによってどう問題が解決できるのかを考えてみましょう。
「家族や先生のすすめ」といった主体性を欠くものや、「楽しそうだから」といった感情だけに基づいた理由を示すのは避けましょう。あくまで自分の体験に基づいた、課題の発見や解決に向けた探求が志望動機のベースとなります。

志望先を選んだ理由

なぜ他の大学でなく志望先を選んだのかを述べます。パンフレットやオープンキャンパスなどから得た情報をもとに、具体的な授業名や学べる内容を記述しながら、学びに対する熱意を示しましょう。大学の先生や研究室のメンバーが研究している事柄から、やりたい研究や学びが実現できることを伝えてもよいでしょう。
なお、自宅からの距離、キャンパスの雰囲気、先輩の印象、学費などを理由にするのは、打算的かつ安易な学校選択をしている印象を与えるので、記述は控えてください。

自己PR

自己PRとは、あなたのよいところを志望大学に伝えるための文章のことです。4つのポイントを押さえ、上手にアピールしましょう。

アピールポイント

まずは、自分自身の長所やアピールしたい能力を述べます。大学側の「求める人物像」「アドミッション・ポリシー」に合っている長所やアピールポイントを探し、表現するとよいでしょう。ここで示す長所は、あなたがどういう「価値」を持ち、その価値を他者にどう提供できるのか、ということを表します。
自分の長所を一人で考えるのが難しい場合は、おうちの人や友達、塾の先生に聞いてみるのもよいでしょう。自分では気が付いていない長所を客観的に教えてもらえると、自分自身の分析も深まります。

長所を得た過程

どのように自己の長所やアピールポイントを得たのか、その過程を述べます。①自らにどういう問題・課題があり②その原因を分析し③どのように工夫や努力をし、克服して長所を得たのか、その経緯を示しましょう。この過程を書くことにより、具体的なストーリーを通して「受験者がどのような人物なのか」が採点者に伝わります。そのため、冒頭に書くアピールポイントは幼少期に身につけたものよりは、身につけた過程を細かく思い出せるものが良いでしょう。
また、「長所を得た過程」で、きっかけや体験を延々と述べるケースがあります。長所を得た際のポイントとなるところを手厚く述べ、そうでない点は圧縮したり削除したりするなど、字数の調整を行うように心がけましょう。

将来への抱負

「長所を学びにどう生かすのか」「長所をどう生かして社会貢献したいのか」など、抱負を示しましょう。このポイントを示すことで、いかにあなたが志望先にふさわしい人物であるのかをアピールします。

自己PR文でやってはいけないこと

自己PRでNGなのは、資格や実績の自慢や「仲間や先生のおかげで成長できた」など、他者のPRになることです。志望理由と関係ないことをPRすると面接で質問されたときに困ってしまいます。限られた文面で自分のすべてを伝えることはできません。大学に知ってほしいことを精査してアピールしましょう。

課外活動

高校生でも参加できるシンポジウムやワークショップの開催や、ボランティアの募集などの情報を積極的に収集してチャレンジしてみましょう。その他、スピーチコンテストなど、様々な競技会に参加して経験や実績を積むのもオススメです。

小論文・面接・グループディスカッションの対策

小論文、面接、ディスカッションは、いずれも様々なテーマに基づいた議論や論述の訓練が必要ですが、独学ではなかなか難しいでしょう。栄光では、小論文などの対策を高校3年生開講の「推薦小論文」で実施しています。ぜひ活用してください。

総合型選抜のメリットとデメリット

総合型選抜の全体像が見えてきたと思います。総合型選抜はどんなメリット・デメリットがあるのかまとめていきましょう。

メリット

選考方法が豊富

総合型選抜は学力だけでなく、意欲・素質・大学との適合性などをもとに総合的に判断します。偏差値や得意・不得意科目などにとらわれずに受験校を決定することができます。場合によっては一般選抜では入学が難しいと思われる大学に合格することも可能となります。
また高校時代に取った資格や、得意なことで活躍した実績が活きる入試です。

大学合格のチャンスを増やす

一般選抜だけでなく、総合型選抜を受験すれば、志望校・志望学部の入試にチャレンジする機会が増えます。また、大学によっては一般選抜よりも倍率が下がることもあるので、チャレンジすることで、より合格の可能性を高められるといえるでしょう。

特待生にチャレンジできる可能性も!

一部の大学では、総合型選抜の合格者であっても、入学権利を確保しながら学力特待生入試や奨学金選抜試験を受験することが可能です。もし合格すれば、授業料免除や奨学金を受けることができます。自分の志望校でこのような制度があるか一度確認しておくとよいでしょう。

デメリット

一般選抜との両立の難しさ

総合型選抜では、志望理由書の記入対策や小論文、面接対策など一般選抜とは異なる対策が必要となります。そのため、合格するにはこれらの学習や入念な準備が欠かせません。
そうなると一般選抜と総合型選抜の対策の両方が必要となり、受験期の学習量は膨大なものになります。場合によっては、試験対策の両立が困難になることもあり、どちらも中途半端になる恐れがあります。

準備期間が長い

エントリーが6月から始まり、合格発表は11月までと入試期間が長い入試方法です。面接が複数回行われる大学もあり、総合型選抜を受験しながら一般選抜の対策も行う過酷なスケジュールになります。
また、エントリーの前には志望校を確定しなければいけないという点も忘れてはいけません。入試要項の確認なども必要なので、一般選抜組と比べて早く情報収集を始めなければなりません。周りに流されず、自分から積極的に動けなければスケジュール管理が難しい入試でもあります。

精神的ダメージの大きさ

総合型選抜は単なる入試方式であり、合格が100%保証されているわけではありません
特に合格発表は一般選抜対策の佳境の時期となるため、結果が不合格であれば影響することも。安易な気持ちで受験することは好ましくありません。

合格後の自己管理の難しさ

総合型選抜合格後から入学までの数か月間、学業に関してはほぼ自己管理です。ここで学習を疎かにすると、大学入学後の授業で大変な困難を強いられることになります。
特に、一般選抜の難度が高い大学の場合、入学までの間に、基礎学力を総合的に高める学習が必須です。厳しい自己管理と計画的な学習が求められます。

総合型選抜が向いている人

ここまで総合型選抜の概要やメリット・デメリットを見てきました。これらを踏まえて、どんな人が総合型選抜を使うことが多いのかを紹介していきます。

  • 自分が興味のある内容について深堀り、研究してきた人
  • 志望校のアドミッション・ポリシーに共感でき、内容を深く探ることが苦ではない人
  • 高校時代に大会やコンクールで実績を残している人
  • 難易度の高い資格を取得してきた人
  • 小論文や面接に苦手意識が少ない人

これらに当てはまる人は、自分の得意なことを活かすことで総合型選抜を有利に進めることができるでしょう。もちろん、当てはまらないからと言って挑戦できないわけではありませんが、得意なことを活かしたほかの入試方法もあるかもしれませんので、幅広く目を向けてみてください。

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